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1、5Gの通信速度の理論値は4Gの約100倍

5Gの通信速度はサービス開始当初から下り最大で10Gbpsになると言われています。

 

将来的には、下り最大20Gbpsに達するともアナウンスされています。対して、光回線はNURO光の10Gbpsもありますが、主流なのは2Gbpsのサービスです。

 

5Gサービスがスタートしたら、最大通信速度で負ける光回線はいらなくなるのでしょうか? そこで様々な側面から5Gと光回線を比較してみました。

 

 

5Gの通信速度

5Gのイメージ

 

以下は、各回線事業者の通信速度です。

 

回線業者 理論値 実測値
下り最大 上り最大 下り平均 上り平均
ドコモ 5G 3,400Mbps 182Mbps サンプルが少ない サンプルが少ない
au 5G 2,800Mbps 183Mbps サンプルが少ない サンプルが少ない
ソフトバンク 5G 2,000Mbps 103Mbps サンプルが少ない サンプルが少ない
ドコモ 4G 1,576Mbps 131Mbps 69.2Mbps 12.8Mbps
au 4G 1,237Mbps 112.5Mbps 49.6Mbps 8.0Mbps
ソフトバンク 4G 838Mbps 非公開 43.0Mbps 11.67Mbps
コミュファ光 1,000Mbps 1,000Mbps 451.7Mbps 276.8Mbps
NURO光 2,000Mbps 1,000Mbps 335.8Mbps 332.2Mbps

※光回線には10Gbps、5Gbpsといった超高速コースも登場している

 

ただし、2020年4月の執筆時点では5Gユーザーの数が少なく、平均値を算出できるほどのサンプルがありませんでした。

 

そこで、SNS上で公開されている5Gの実測値をみてみましょう。

 

 

 

幅は広いですが、5Gの実測値は200〜1,000Mbpsほどのようです。現段階では、4Gと比べて「おおよそ8〜10倍ほどの速さ」があります。

 

5G対応スマホの料金や、現状利用するメリットデメリットはこちらを参考にしてください。ドコモ・au・ソフトバンクの5G対応スマホの料金

 

2. 5Gが普及すれば光回線は不要になるのか?

5Gの普及が進んでも、光回線が不要になることはないでしょう。

 

理由は、いくつかあります。

  • 5Gは電波を遠くまで飛ばすのに向いていない
  • 通信が安定する光回線は自宅での利用に最適
  • 10Gbpsや5Gbpsといった超高速コースも登場している
  • 光回線には速度制限がない

IoTが普及しても自宅内の利用では通信が安定する光回線の方が便利ですし、超高速コースにより通信速度が5Gに大きく劣ることもありません。

 

IoTとは:IoTとは「Intetnet of Things」と呼ばれるものです。

 

たとえば、エアコンや照明、テレビ、冷蔵庫などがインターネットにつながってモノ同士が通信し、離れた場所から制御や操作などができるようになります。

 

また、5Gには速度制限の可能性も指摘されています。(詳細は後述)

 

以上の理由から、5Gと光回線は共存できるので当分はなくならないと考えられるのです。

 

2-1 いま光回線を解約して5Gに一本化するのはアリ?

現段階では、5Gへの一本化はお勧めできません。5Gはサービス開始直後で、ほとんど普及していないからです。

 

4G以上の通信速度を発揮できるのは限られたエリアのみですし、スマホを持ち歩いているときは家庭内でインターネットを利用することもできません。

 

5Gに限らず、もともとネットを利用することが少ない単身の人は、スマホだけにして月額料金を節約するのもいいでしょう。

 

基本的には、5Gを理由に光回線を解約する必要はないといえます。

 

3. 5Gのデメリットや弱点

今さら聞けない5Gの特徴と光回線はまだ必要な5つの理由

 

  1. 将来的に速度制限がかかる可能性もある
  2. テザリングはバッテリーの消費が激しい
  3. IoT化した際に自宅でWiFi(光回線)が必要になる
  4. 対応エリアが限定的
  5. 利用客が増えれば速度が落ちる可能性も…
  6. 料金はやや高い
  7. 対応できる端末が少ない
  8. 5G向けのコンテンツが少ない
  9. 健康被害について世界中で議論されている

下記から、詳しくみていきましょう。

 

デメリットや弱点@:将来的に制限がかかる可能性もある

各キャリアは、無制限での提供に慎重になっているからです。

 

限定的ではあるものの、現在は3キャリアとも5Gを無制限で利用できます。

  • ドコモ:期間限定
  • au:スマホ限定
  • ソフトバンク:動画・SNSに限定

5Gが普及して使用量が膨大に増えてしまうと、ネットワーク保護のために制限をかける恐れがあるのです。

 

契約直後は(利用者が少ないですから試験的に)無制限でも時間が経てば、月〇GBのような上限が設けられる可能性はあります。

 

詳しい理由については、以下の記事を参考にしてください。5Gスマホの料金 ドコモ・ソフトバンク・auを比較

 

一方の光回線は、制限の心配は必要ありません。

 

将来的に制限がかかる可能性があることは、5Gのデメリットです。

 

デメリットや弱点A:テザリングはバッテリーの消費が激しい

テザリングは、スマホへの負担が大きいからです。

 

現在は5Gに対応する端末がスマホぐらいしかないので、パソコンやタブレットを5Gで利用するにはテザリングしか方法はありません。

 

しかし、通常はスマホ本体とインターネット回線だけの送受信だけなのに対して、テザリングはパソコンやタブレットといった通信機器との送受信も行う必要があります。

 

5Gテザリングイメージ

※筆者作成

 

スマホへの負担は大きく、バッテリーの劣化まで早くなります。

 

バッテリーの劣化が進むと、フル充電でテザリングを使わなくてもすぐに電池切れを起こしてしまうのです。

 

テザリングしか使えずバッテリーの消耗が激しいことも、5Gのデメリットです。

 

デメリットや弱点B:IoT化したときに自宅でWiFi(光回線)が必要になる

IoT化すると、自宅でインターネットを利用できるようにする必要があるからです。

 

たとえば、帰宅前にスマホを使って自宅のエアコンをONにしたりフードサーバーから愛犬にエサを与えたりする指示を職場から出したとしましょう。

 

エアコンやフードサーバーが指示を受けるには、ユーザーが外出しているときもインターネットに接続されている必要があるのです。

 

5Glot化

※筆者作成

 

つまり、光回線やモバイルWiFiを自宅に置いておかなければなりません。今後、自宅のIoT化が進みますからこの点は、5G対応のスマホの大きい問題だと思います。

 

IoT化したときに自宅でWiFiや光回線が必要になることも、5Gのデメリットです。

 

IoTは「モノのインターネット」のこと

IoTは「Internet of Things」の略称で、「モノのインターネット」と訳されます。

 

インターネットが普及した当初はパソコンしかインターネットに接続できませんでしたが、近年では携帯電話やタブレットなどの端末も接続可能です。

 

さらに5Gが普及してデジタル化が進んでいくと、家電や自動車といった「モノ」もインターネットに接続できる技術が確立されます。

 

今後は家庭だけでなく、工場や農場などへの普及も見込まれています。

 

デメリットや弱点C:対応エリアが限定的

5Gの普及には、多くの基地局が必要ですので、普及が遅れる可能性が高いです。

 

5Gが多くの基地局が必要な理由

4Gよりも遥かに高い周波数帯を利用する5Gは直進性が高すぎて、基地局の影ですら電波が届きにくいほどです。

 

その弱点をカバーするには基地局を数十メートル間隔で設置する必要があるので、手間も時間もかかってしまいます。

 

以上の背景から、一律でサービスを利用することはできません。

 

実際に2020年3月の5Gサービス開始時点では、各キャリアともエリアはかなり限定的です。

  • ドコモ:全国150箇所(一部の公共機関や施設のみ)
  • au:全国15都道府県の一部エリアのみ
  • ソフトバンク:全国7都府県の一部エリアのみ

利用できる地域でもエリアがかなり狭いので、少し移動しただけで5Gは使えなくなります。

 

光回線も一部の回線業者はエリアは狭いものの、現在の5Gよりは広いです。対応エリアが限定的であることも、5Gの弱点です。

 

デメリットや弱点D:利用客が増えれば速度が落ちる可能性も…

利用客が膨大に増加すると、ネットワークに大きな負荷がかかるからです。

 

基地局などインフラが整っていない状態で、IoTやテレワークの普及でデータ通信量が増えてしまうと通信速度は落ちてしまいます。

 

混雑すれば回線の速度が遅くなるのは、たとえ5Gでも同じです。

 

ただし、5Gへの移行で「マクロセル」のエリアに「スモールセル」を設置するなど、1局あたりの収容人数は減る(=大容量に対応)といわれています。

 

※マクロセル基地局:4Gまでの大型基地局のこと

 

※スモールセル基地:5Gで導入される小型の基地局で低コストで設置できる

 

5G基地局

引用:NTTドコモ公式サイト

 

今後のキャリアの対応によっては、混雑が続くような事態が増えるかもしれません。

 

一方の光回線は、参入している業者数が多く独自回線を持つ業者も存在するので、大きく速度が落ちる可能性は低いです。※フレッツ光のように加入者が多い回線業者や通信障害などの例外を除く

 

利用客の増加で通信速度が落ちる可能性があることも、5Gのデメリットです。

 

デメリットや弱点E:料金はやや高い

特に大容量プランになるほど、料金は高くなります。

 

実際に、3キャリアの大容量プランの月額料金をみてみましょう。

 

ドコモ au ソフトバンク
毎月のデータ量上限 無制限 コンテンツ+80GB 動画SNS+50GB
月額料金 7,480円 11,500円 8,480円

※容量の少ないプランは5Gの初期契約者のニーズに合わないので割愛
※割引などは含まない料金を掲載
※ドコモはキャンペーン期間中のみ無制限(通常は月100GB)

 

auやソフトバンクの上位プランは対象のコンテンツやSNSなどが無料であるほか、対象外でも大容量のデータ通信を利用できます。

 

ドコモは期間限定で、データ通信量無制限での利用が可能です。

 

3社ともに、通信速度やデータ通信量では近い条件(持ち運びはできない)である光回線と比べると、5Gの月額料金は割高であることがわかります。

 

※光回線の月額料金(相場):戸建て5,000円前後、マンション2,000〜4,500円

 

その他、キャッシュバックキャンペーンや月額の割引などがある。導入工事費を無料にしているキャリアも増えています。

 

また、5Gが利用できる場所は現時点で極めて限定的です。料金はやや高いことも、5Gのデメリットといえます。

 

デメリットや弱点F:対応できる端末が少ない

2020年4月時点で利用できる端末は、全キャリアで3機種しかありません。

  • AQUOS R5G
  • Galaxy S20 5G
  • ZTE Axon 10 Pro 5G

 

AQUOS R5G

※全キャリアで取り扱っているのはAQUOS R5Gだけ

 

端末が少ないので、現時点におけるユーザーの選択肢は少ないです。

 

しかも、5Gサービス開始直後の機種だけに、今後の高速化には対応しなくなる可能性もあります。

 

2020年4月下旬以降は5G対応の新しい機種も発売される予定がありますし、機種が増えてから購入するのもいいでしょう。

 

5G対応端末が少ないことも、5Gのデメリットです。

 

デメリットや弱点G:5G向けのコンテンツが少ない

2020年4月現在では、5G向けのコンテンツは充実していません。

 

実際に一部のユーザーからは、「5Gにはキラーコンテンツが少ない」といわれています。

 

 

各キャリアが実証実験を行ったり総務省が「5G利活用アイデアコンテスト」を開催したりしているのは、まだ新しいサービスを模索している段階だからなのです。

 

5Gアイデアコンテスト

引用:総務省ホームページ

 

たとえば、ソフトバンクには「5GLAB」というコンテンツがあります。

 

5GLABとは:AR、FR、VR、GAME SQUAREの4つを提供しているのですが、コンテンツは十分とはいえません。しかも、GAME SQUAREは動画SNS放題の対象ではないので、対象の料金プランへの加入が必要です。

 

一方の光回線は、光テレビなどのコンテンツが充実しています。5G向けプランが充実していないことも、5Gのデメリットといえます。

 

デメリットや弱点H:健康被害について世界中で議論されている

日本ではほとんど話題になりませんが、世界中の科学者が5G導入の反対運動を続けています。

 

 

42ヵ国230人の科学者は、「5Gを広く普及させるまえに人体への影響をきちんと研究すべき」と主張しています。

 

そもそも人類は、5Gの30〜100GHzの高い周波数に長期間さらされたことは一度もないからです。※日本の4キャリアは28GHzを利用(今後参入予定の楽天を含む、4Gは3.6GHz以下)

 

実は日本でも5Gが人体へ与える影響については研究中であり、低周波数帯の刺激作用や熱作用、皮膚影響および影響しきい値など年齢別の被験者や環境で調査しています。(総務省資料より

 

※5Gでは色んな周波数を3種類混ぜて使用する

 

危険ではないという意見が多い

一方で、一部の専門家によると「現段階では危険ではない」という意見が圧倒的なようです。

 

「安全である」「安全ではない」どちらも決定的な確証がないことから、世界中でさまざまな議論が巻き起こっています。

 

※世界保健機関(WHO)でも、健康への影響を50年以上も研究を進めている(総務省ホームページより)

 

光回線では、人体への影響が危惧されているようなことはありません。人体への影響について議論されていることも、5Gのデメリットです。

 

5Gが人体へ影響を及ぼしたとされる事例

以下は、5Gが人体に影響を及ぼしたとされる事例です。

 

【アメリカ・カリフォルニア州サクラメント】

同区域の消防士が5Gのアンテナを設置すると、頭痛や不眠だけでなく記憶障害や意識障害を訴えるようになり、5G設備のない地域へ異動した途端に症状は回復。

 

【オランダ・デンハーグHS駅】

5Gアンテナが設置された駅周辺で、ムクドリ297羽が突然死。死んだ動物に、ウイルスや細菌の感染の様子はなかったという。

 

https://www.youtube.com/watch?v=vBFcO0AR3T8&feature=emb_logo

 

【イギリス・ゲーツヘッド】

5G基地局機能付きの街灯を約37,000台設置したところ、不眠症や鼻血、死産や流産が増加。ほかにも、心臓、免疫、ガン、視力、肌などへの影響も懸念されています。

 

※ただし、米国国立がん研究所の統計では携帯電話が最も多く普及した1992〜2016年にかけて、脳しゅ瘍の発病率は減少していると発表されている

 

5G導入を見送っている国

5Gの導入を見送っている国と、見送る理由です。

  • ベルギー:「市民はモルモットではない」と環境相が断言
  • イタリア:人体への影響がないことが立証されるまで延期
  • アメリカ・カリフォルニア:健康面を理由に5G基地局建設を阻止する条例を制定
  • スイス:健康面を理由に5Gの使用を停止

5Gの反対派は世界的に少しずつ増えてきていることから、日本でも話題になる日は来るでしょう。

 

4. 光回線と比較した際の5Gのメリット

  1. 工事不要で手間がかからない
  2. 持ち運びができる
  3. 光回線では実現できない技術を導入できる

下記から、詳細を説明していきます。

 

メリット@:工事不要で手間がかからない

5Gは次世代のモバイル通信のため、光回線のような工事は不要です。光回線の場合は、開通工事を必ず施工しなければなりません。

 

繁忙期は2ヶ月以上も工事を待つケースがあるうえ、屋内工事では立ち会いも必要なことから契約者の負担は大きいといえます。

 

しかも、回線工事は人件費も発生するので費用は高額です。(相場は15,000〜40,000円)※回線業者のキャンペーンや特典で工事費用が無料になる場合もある

 

5G対応の端末とプランへの加入で、契約したその日から利用することもできます。

 

工事不要で手間がかからないことも、5Gならではの魅力です。

 

メリットA:持ち運びができる

5Gは「移動通信システム」なので、持ち運びが可能です。

 

※移動通信システム:持ち運び可能な通信機器を利用する通信システムのことで、かつては飛行機や船といった移動中に使う通信を「移動通信」と呼んだ

 

一方の光通信は持ち運びができないので、自宅でしかインターネットへ接続することはできません。

 

5G端末なら端末を持ち運べるので、テザリング機能を使えば外出先でパソコンやタブレットもネット接続できます。

 

持ち運びができることも、5Gのメリットです。

 

メリットB:光回線では実現できない技術を導入できる

5Gなら、新世代技術ならではの技術を導入できます。代表的なものに、自動車の「自動運転技術」があります。

 

インテルによると、自動運転を行うために取得するデータ量は1日4TBになると試算されています。

 

自動運転の場合は高速で移動中も大量の情報をやり取りする必要があるので、5Gでなければ実現できません。

 

しかも、たとえば渋滞時のように車両が密集しているような場合は車両との距離が切断されてはならないので、常に接続された状態でなければならないのです。

 

一方の光回線では移動中に情報をやり取りできないので、自動運転には向きません。

 

光回線では実現できない技術を導入できることも、5Gならではの魅力です。

 

5. パソコンを5Gに対応させる必要はある?

現段階で、すぐに対応させる必要はないでしょう。

 

5Gの普及が進んで低料金で利用できるようになれば別ですが、それまではポケットWiFiでも特に問題ないからです。

 

また、パソコンを5Gに対応させても固定回線でネット接続するなら意味がありません。そもそも5Gは移動通信システムの規格なので、固定回線とは無関係だからです。

 

モバイルルーターも今販売されているものは5Gには対応していないので、パソコンだけ5Gにしてもやはり意味はありません。

 

以上の理由から、パソコンの5G対応を急ぐ理由はありません。ただし、5Gコンテンツの開発や最新のゲーミングパソコンを使いたい人などは例外です。

 

世界初の5G対応パソコン(レノボ・Yoga 5G)

5G対応

引用:レノボ公式サイト(英国版)

 

6. まとめ

今回は、5Gの登場で光回線は不要になるのか両者を比較しました。

 

これまでにお伝えした内容は、以下のとおりです。

  • 現在の5Gの実測値は200〜1,000Mbps
  • 5Gが普及しても光回線が不要になる可能性は低い
  • 5Gの普及が進んでいない現在ではデメリットの方が多い
  • 将来のサービスには期待を持てる
  • すぐにパソコンを5G対応させる必要はない

仮に5Gの普及が進んでも光回線サービスとはすみ分けできているので、特に光回線の解約を検討する必要はないでしょう。

 

さまざまな割引や特典を活用できるので、一足先に未来をのぞいてみたい人は5Gを検討してみてください。

以下の記事は2019年の情報です。

 

4Gと5Gの理論上の最大速度

現在、4Gで通信速度が最速なのは、NTTドコモが提供している「PREMIUM 4G」の下り最大通信速度1.288Gbps(理論値)です。ただし、これは5つの周波数を束ねたパターンで実現している数値です。周波数1波だけだと、下り最大通信速度788Mbpsが最大となります。

 

しかし2020年に商用化を予定している5Gの場合は下り最大通信速度10Gbpsでサービスが開始され、将来的には下り最大20Gbpsに達する形となっています。米国・韓国での5G 実測値の例

 

5Gの通信速度が飛躍的に速い理由

なぜ4Gから5Gに変わっただけで、こんなに通信速度が速くなるのでしょうか。その最大の理由は、4Gと5Gで使用する電波の周波数帯が異なるからです。

 

4Gで使われている周波数帯は主に2GHzから3.6GHzです。一部では700〜800MHzも使われています。それに比べて5Gには、4Gよりもはるかに高い周波数帯である3.7GHzと4.5GHz、それに28GHzが通信キャリア4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)に割り当てられています。28Ghz帯の利用例・実験例

 

5Gは4Gで使われている周波数に加え、6GHz以上の周波数を使って通信を行うようになりました。携帯電話事業者は28GHz帯域での実験を続けていますので、商用化される際には28GHz帯域での通信がメインになるものとみられています。

 

5Gにはなぜ高い周波数帯が割り当てられたのかというと、周波数が高い帯域は他の通信などにあまり用いられていないからです。あまり用いられていないことにより、広い帯域幅をモバイル回線用に確保でき、高速化と大容量化を実現できるわけです。

 

5Gにも弱点はある

ただし電波は、周波数が高ければ高いほど直進性(まっすぐに進む性質)が強くなっていきます。

 

そのため、5Gの周波数はビルなど障害物に遮られやすく、遠くまで到達しにくくなります。この弱点を克服するため各キャリアとも、電波を目的の方向に集中させるビームフォーミング技術を強化したり、基地局を増大したりするなどの対策をとっています。

 

2、5Gがあれば光回線は不要になるのか?

結論からいえば5Gが実用化されても、しばらくは「光回線が無くなることはない」と考えられています。

 

5Gの最高速度は10Gbpsから20Gbpsといわれており、これは現行4Gの100倍程度を意味します。光回線の最高速度は10Gbps(NURO光)です。この数値だけを比較すると5Gと光回線の速度はほとんど変わりません。

 

ではなぜ光回線と5Gが併用されることになるのか、あくまでも推測の域を出ませんが簡単に説明してみます。

 

5G(モバイル回線)の考えられるデメリット

1、速度制限が入る可能性

5Gも携帯電話のネットワークである以上、現在の各キャリアが採用している料金体系を踏襲するはずです。具体的にいうと、通信量に応じて料金が上がっていくという料金体系です。

 

それと比べて、光回線は月額固定料金制であり、通信量がいくら増えたとしても月額料金は変わりません。

 

たとえば、NetflixやHulu、AmazonのPrime Videoといった動画配信サービスをいくら視聴しても月額料金は一定なのです。しかしモバイル回線で高画質の動画を際限なく視聴したら月間のデータ容量上限をすぐに超えてしまうでしょう。

 

5Gは速度が速い分、短時間に大容量のデータを消費できる(してしまう)ため、月末を待たずに「ギガ不足」に陥るわけです。

 

テザリング機能を使う事でさらに制限を受けやすくなる

テザリング機能とは個人に割り当てられている月間データ容量を消費する形で使うことができる機能です。

 

5Gはモバイル回線です。モバイル回線であればスマートフォンやタブレットなどをWi-Fiルーターとして利用できる「テザリング機能」も搭載されるはずです。そこで、自宅では5Gのテザリング機能でインターネットに接続すれば、インターネット接続を5Gに1本化できるように考える方もいるかと思いますが、、

 

例えば月間5GB契約の方がテザリング機能を使うとなると、すぐにデータ容量が上限値に到達してしまう恐れがあります。また、5Gが実用化される頃には大容量のコンテンツ(リッチコンテンツ)が、増えている事が想定されるため、速度制限が入る可能性はさらに増えると思います。

 

5Gの実測値がどの程度出るのかがわかならい

光回線の最大通信速度は1Gbps〜10Gpsですが、実際にこのスピードが出ることはまずありません。

 

というのも、光回線を含め、現在、一般消費者向けに提供されているインターネット接続サービスはすべて「ベストエフォート型(最大限の努力はするが保証はしない、という意味)」で提供されているからです。

 

「ベストエフォート型」の実際の通信速度は、回線の混雑状況(ユーザーが集中する時間帯やエリアなど)や、有線接続か無線LAN(Wi-Fi)接続かで変わってきます。それ以外にも、利用しているプロバイダ(そのプロバイダの利用者数や設備の充実度など)によっても大きく変わります。

 

そのために光回線のユーザー宅における実効速度(実際に出ている通信速度のこと)は、最大通信速度が1Gbpsの回線だとしても60〜200Mbps程度と言われています。

 

光回線の例を見ると、5Gのベストエフォート値が10Gbpsであっても、実測値でどの程度出るかは不透明です。現に5Gのサービスがスタートしたアメリカや韓国でも、4Gと比べて飛躍的に速くなったと言う評判はほとんど見ません。世界での5G稼働状況 料金や利用者の感想

 

むしろエリアの狭さや、料金の割には速度が出ない・・と言う評判の方が多いようです。光回線もそうでしたが、5Gもそのスペックを活かしきるには時間と研究が必要と言った印象です。参照:光回線の高速化の歴史

 

IOT化した際に自宅でWi-Fi(光回線)が必要になる

少し視点を変えて考えてみましょう。自宅にある冷蔵庫やエアコンなど家電がすべてIoTに対応していた場合、外出先からでも簡単に操作できます。自分が自宅にいるときはスマートフォンのテザリング機能で各家電をインターネットにつないでいたとしても、外出中はどのように家電をインターネットにつなげればよいのでしょうか。

 

そこで思い浮かぶのはWi-Fiです。Wi-FiはポケットWi-Fiと呼ばれるSIMカードを挿入して使うタイプと光回線を変換して使う2種類のタイプに分かれます。

 

今回注目していただきたいのは”光回線を使ったWi-Fiの運用”です。Wi-Fiで各家電をインターネットに接続しておけば、外出先からでも簡単に家電を操作できます。そういった面でも光回線は必要不可欠なもので、5Gとは”相互補完関係”にあるといえるでしょう。

 

5Gがスタートしてから通信速度を見極めるべき

現状では、NTTドコモから「5Gの料金プランは使い放題になるだろう」とアナウンスされています。料金の部分では心配なくなるかもしれません。

 

ただし、先ほどもお伝えした「5Gで使用される電波の周波数帯は直進性が高い」ということも問題になってきます。もし「隣にビルがある」「5Gの基地局が近くにはない」という場合、最大通信速度が10Gbpsであっても自宅ではどのくらいの通信速度が出るのかわかりません。

 

とくにサービスのスタート時は基地局が多くはないために、この点は心配になってくる要素です。

 

利用者が増えたら速度が落ちる可能性

また光回線も同様ですが、「サービスがスタートして利用者が少ないうちは通信速度が速いけれども、サービスの人気が高まって利用者が増えてくると通信速度が落ちてくる」というベストエフォート型の特性もあります。

 

当面は5Gと光回線の使い分けがベストだが納得できれば5Gへの一本化も

 

このように見ていくと、「5Gにおける理論上の通信速度は魅力的ではあるけれどもサービス開始当初は光回線を併用していくべき」と考えます。サービススタートからすぐに、インターネット接続契約を5Gに1本化するのは危険です。5Gのサービスが安定化するのを待ったほうが良いでしょう。

 

そのとき、自宅で利用する上で問題ない通信速度が5Gで計測され、料金体系も納得できるものとなった。こうなったら、光回線を解約し5Gに一本化してみても良いかもしれません

 

光回線と5Gの関係

色々と書き連ねてきましたが、重要なポイントは「光回線と5Gは全く異なる性質を持つネットワーク」だということです。

 

通信速度など似ている部分も多々ありますが本質的な部分では全く異なります。互いに互いの弱点を補いあっているため”相互補完関係”といえるのではないでしょうか。したがって、5Gが本格的に普及したからといって光回線が無くなってしまうことはないでしょう。

 

家計的な意味で節約をしたいからという場合は、光回線を廃止してモバイルルーターを持ち歩き使う形でも良いかもしれません。しかし、モバイルルーターであっても3日間で10GBを超えて(UQ WiMAXの場合)通信してしまうと速度制限に引っかかってしまいますので、慎重に判断すべきではないでしょうか。

 

5G 光回線に関するコラム

28Ghz帯の利用例(実験例)

例えばNTTドコモは2018年に三菱電機と協力して28GHz帯域での屋外実験を行っています。屋外実験では最高速度27Gbpsと規格外のスピードを測定しました。スピードは基地局に近ければ近いほど早く、遠くなればなるほど低下していきます。

 

実は周波数が高くなればなるほど、“直進性”と呼ばれる性質が強くなっていき、ビルなど障害物が多い地域では遠くまで電波が飛びにくくなってしまいます。そこで各社ともにビームフォーミング機能を強化したり、アンテナ数を増大させたりで5Gの弱点を克服し商用化を目指しているのです。

 

さらにアンテナ性能も大きく向上しています。4Gと比べると5Gでは一度に接続できる台数が大幅に増えています。花火大会など多くの人出があるところでは中々インターネットに接続できず、SNSやLINEなどが使えなかった人も多いでしょう。しかし、5Gになったことでそういった煩わしさからも解放されると各社は説明しています。

 

光回線の高速化の歴史

これまで長い間、高速な通信回線といえば「光回線」でした。伝送媒体に光ファイバーを利用した有線通信である光回線は、2001年、NTT東日本により「Bフレッツ」(現:フレッツ光)と名付けられたサービスからスタートしました。

 

当初は最大通信速度10Mbpsでスタートした光回線もしばらくして最大通信速度100Mbpsへとアップ。現在では最大通信速度1Gbpsのタイプが主流になっているほか、最大通信速度10Gbpsタイプのサービスも登場しています。

 

また2006年からは、auからも光回線(旧:ひかりone/現:auひかり)が提供されているほか、NTT東/西日本の光回線を利用した「NURO光」や「ドコモ光」「ソフトバンク光」などといったインターネット接続サービスが乱立しています。

 

5G(モバイル回線)は光回線より手軽だが・・

ではなぜ、光回線と5Gが比較されているのかというと”手軽さ”にキーワードがあると考えられます。モバイルネットワークはSIMカードをスマートフォンに挿入するだけでインターネットに繋がります。対して、光回線はインターネット工事をしなければならず開通までに1カ月〜2カ月程度待たされてしまうこともしばしばです。

 

さらにモバイルネットワークには”テザリング機能”が付帯しており、PCなどSIMを挿入できない機器もテザリング機能を使えば簡単にインターネットに接続できてしまいます。現行4Gにもテザリング機能は存在しており、各社ともにオプション契約として契約が可能です。

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