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v6プラスとは?メリットデメリットやIPv6との違いを解説

v6プラスに関して調べていてると

  • そもそもネット用語は専門的でややこしい
  • v6プラスのメリットやデメリットが知りたい
  • ユーザーはv6プラスにして本当に速くなったのか

おおむね上記のようなお悩みではないでしょうか。

 

そんなお悩みを解消するため、v6プラスのメリットやデメリットとIPv6との違いを解説します。

 

より深く理解できるように簡単な言葉で解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

1. v6プラスとは?

v6プラスは、「IPv4通信もIPv6回線内で行う技術」のことです。

 

NTT東日本・西日本が提供する「次世代型のネットワーク(NG)」をアクセス回線とします。

 

「IPv6 IPoE接続」+「IPv4 over IPv6接続」によるインターネット接続により、IPv6ネットワーク上でIPv4の通信を行うトンネル方式を採用しています。

 

※トンネル方式:カプセル化ともいう

 

トンネル方式

※筆者作成
※IPv6の最大回線速度は契約する光回線のプランによる(1Gbpsプランなら最大は1Gbps)詳しくはデメリットで後述

 

そのため、従来のPPPoE接続よりも速い通信が可能です。

  • PPPoE:下り最大200Mbps
  • v6プラス:下り最大100Gbps

v6プラスなら、PPPoE接続では混雑によって速度低下が起こりやすかった平日の夜間や休日でも、速い速度の維持が期待できます。

 

2. 用語の解説

そもそもv6プラスを理解するためには、関連用語を知っておく必要があります。

 

そこで、利用頻度が高い以下の用語について解説します。

  1. IP
  2. IPv4
  3. IPv6
  4. PPPoE方式
  5. IPoE方式
  6. IPoE方式とPPPoE方式の違い
  7. IPv4 over IPv6

下記から、詳しくみていきましょう。

 

2-1 IP

IPはインターネットプロトコル(Internet Protocol)の略で、インターネットでデータ通信するときのルール(通信プロトコル)のひとつです。

 

ソフトウェア・ハードウェアともに、IP上で動作するように開発されています。

 

ネットワークに接続されるすべてのコンピューターには、それぞれのコンピューターを識別するための「IPアドレス」と呼ばれる固有の番号が割り当てられています。

 

このIPアドレスを使って、通信先の指定や呼び出しを行っているのです。

 

2-2 IPv4

IPv4は、インターネットプロトコルバージョン4のことです。

 

「バージョン」ということからもわかるように、IPv4やIPv6はバージョンや登場時期が異なります。

 

IPv4はIPの第4版、IPv6はIPの第6版であり、IPv4は1990年年代後半のパソコン普及期から現在まで利用されている規格です。

 

このIPv4のIPアドレスは32ビットのデータで表現されるので、アドレス総数は「2の32乗個(42億9,496万7,296個」です。

 

かなり膨大な量ですが、近年のインターネットの急速な普及でIPアドレスの数が足りなくなってきました。

 

2-3 IPv6

IPv4のIPアドレス枯渇問題を受けて誕生したのがIPv6です。

 

IPv6ではIPアドレスを128ビットのデータとして表現されるので、IPアドレス総数は「2の128乗(340澗)」まで増えます。

 

340澗(かん)は「340兆の1兆倍の1兆倍」であり、ほぼ無限に近い数字です。

 

膨大な数のIPアドレスがあるので、パソコンだけでなくスマートフォンや家電にも割り当てられています。

 

ほかにも「端末や機器に割り当てられた固有の識別番号をベースに、自動的にIPアドレスが設定される」という特長があるので、ユーザーが特別な設定を行う必要はないのです。

 

ただし、IPアドレスの数が増えたからといってIPv6が高速な通信を行えるわけではありません。

 

2-4 PPPoE方式

PPPoE方式は、電話回線のルールをイーサネットに応用して接続できるようにしたものです。

 

PPPは「Point-to-Point-Procotol」のことで、モデムを利用してインターネットに接続するときやルーター同士を接続するときに使用されるプロトコルを指します。

 

仮想のトンネルを抜けることから、「トンネル方式(カプセル化)」とも呼ばれます。

 

イーサネット:一般家庭やオフィスで利用されるネットワークのこと

 

※oEは「over Ethernet」の略

 

家庭のパソコンからインターネットへ接続するときは、プロバイダから付与されるユーザーIDとパスワードの入力が必要です。

 

また、PPPoE方式ではプロバイダに接続する際に電話回線網とプロバイダを接続する「網終端装置」を、必ず通過しなければなりません

 

通信量が増加すると、網終端装置が混雑して通信速度は遅くなってしまいます。

 

2-5 IPoE方式

IPoE方式は、直接イーサネットとIP通信を行う接続のことです。

 

「生え抜き」という意味をもつ「ネイティブ方式」とも呼ばれます。

 

イーサネットと同じ仕組みなので、PPPoEのような接続の際のユーザー名やパスワードが不要です。

 

「網終端装置」を必要とせず、接続事業者を介してシンプルに接続できるので混雑しにくいというメリットもあります。

 

「IPv6=IPoE」と認識される場合もありますが、正確にいうとこれは間違いです。

  • IPv6 IPoE接続
  • IPv6 PPPoE接続
  • IPv4 PPPoE接続

IPv6は、IPoE接続にもPPPoE接続にも対応しています。

 

つまり、「IPv6だから通信速度が速い」と思い込んで契約すると、実はPPPoE接続で通信速度が上がらないということになりかねないのです。

 

IPoE方式とPPPoE方式の違い

PPPoE方式が電話回線をイーサネットへ対応させる形で作られたのに対して、IPoE方式はイーサネットの使用を前提に作られています。

 

両者の違いを、以下の表にまとめました。

 

PPPoE方式 IPoE方式
通信方式 古い 新しい
接続できるWEBサイト IPv4 IPv6
通信速度 遅い 速い
ネットワークの混雑 混雑しやすい 混雑しにくい
接続 トンネル方式 ネイティブ方式
ユーザーの認証 必要 不要


特に大きな差があるのは、通信速度や安定性です。

 

PPPoEは電話回線での接続を行っていた古い通信方式なので、通信速度は最大200Mbpsです。※PPPoEには、最大1Gbpsのサービスもある

 

一方で通信方式が新しいIPoEは、最大100Gbpsです。※v6プラスはNTT光回線を使用しているため、最大1Gbps

 

安定性についても、IPoEの方が安定しています。

 

通信速度

※作者作成

 

しかし、接続できるサイトはPPPoE方式はIPv4、IPoE方式はIPv6だけです。

 

登場後すぐにIPv6が普及するわけではないので、IPoE方式ではIPv4、PPPoE方式ではIPv6に接続できないという問題が起こりました。

 

そこで登場したのが、「IPv4通信もIPv6回線内で行う技術」である「v6プラス」です。

 

IPv4 over IPv6

「IPv4 over IPv6」は、「IPv4の通信データをIPv6の通信データへと変換できる技術」のことです。

 

IPoE方式の欠点を克服した技術であり、速度低下の原因である網終端装置を迂回してインターネットへ接続します。

 

トンネル化あるいはカプセル化して通信データを変換して、IPv4でしか閲覧できないWEBサイトもIPv6で閲覧できるようになります。

 

3. v6プラスとIPv6の違い

v6プラスとIPv6の大きな違いは、「IPv4」への接続ができるか否かです。

 

そもそもv6プラスは、「IPv6 IPoE」と「IPv4 over IPv6」の2つを合わせた技術なので、IPv4へ接続できます。

 

v6プラスとは、「日本ネットワークイネイブラー株式会社」が提供するIPv4/IPv6インターネット接続サービスの総称でもあります。

 

日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE):日本でIPv6アドレスの普及を目的とする電気通信事業者で、2010年に設立

 

一方の「IPv6 IPoE」や「IPv6 PPoE」は、IPv6にしか接続できません。

 

IPv6ipoE接続方式

※筆者作成

 

つまり、IPv4へ接続できるのがv6プラスであり、IPv4へ接続できないのがIPv6です。

 

4. v6プラスのメリット

  1. IPv4とIPv6のどちらにも接続できる
  2. IPv4での通信が速くて安定している

下記から、詳しくみていきましょう。

 

メリット@:IPv4とIPv6のどちらにも接続できる

v6プラスは、「IPv6 IPoE」と「IPv4 over IPv6」の2つを合わせた技術だからです。

 

PPPoE方式ではIPv4にしか接続できず、IPoE方式ではIPv6にしか接続できません。

 

厳密にはPPPoE方式でもIPv6へ接続できますが、「IPv6トンネル対応アダプタ」や「IPv6 PPPoE接続対応の機器」を追加する必要があります。

 

v6プラスなら機器を追加することなく、IPv4とIPv6のどちらにも接続できるメリットがあるのです。

 

メリットA:IPv4での通信が速くて安定している

IPv4の通信データをカプセル化してIPv6の通信データへと変換させることで、混雑の原因である網終端装置を避けて接続できるからです。

 

各通信サービスの通信速度がわかる「みんそく」の一部データで比べてみましょう。

 

v6プラス

IPv

 

PPPoE

ドコモ光実測値

引用:みんなのネット回線速度

 

上記はどちらもドコモ光の実測値ですが、特筆すべきはジッター値です。

 

ジッター値:データを転送する際のブレ加減のことで、数字が高いと通信が不安定になる。

 

従来のPPPoE方式ではIPv4接続のジッター値が77.82msもあるのに対して、v6プラス接続した際のジッター値はIPoE方式と同水準の「2.16ms」しかありません。

 

v6プラスなら混雑を回避できるので、通信が安定するうえに速度も速くなります。

 

IPv4での通信が速く安定していることは、v6プラスのメリットです。

 

5. v6プラスのデメリットや注意点

デメリット

  1. 別途手続きを要するプロバイダもある
  2. IPoE方式よりも最大速度は遅い

注意点

  1. 対応していないプロバイダがある
  2. 一部で利用できないサービスがある
  3. 利用にはv6プラス対応機器が必要

下記から、順番に説明していきます。

 

デメリット@:別途手続きを要するプロバイダもある

PPPoE IPv4通信とは違ってオプション扱いなので、手続きが必要な場合があります。

 

多くのプロバイダは自動で適用されることから、手続きは不要です。

 

しかし、v6プラス自体が新しい技術であるために、手続きを要するプロバイダもあります。

 

ドコモ光の25社のプロバイダを例にすると、「BB.excite」や「楽天ブロードバンド」などはv6プラスやIPv6接続の申し込みを行う必要があります。

 

v6プラス

引用:NTTドコモ公式サイト

 

申し込み手続きを忘れてしまうと、v6プラスあるいはIPv6ブリッジ機能に対応した機器を送ってもらえないので、IPv6に接続できません。

 

別途手続きが必要になるプロバイダも含まれていることは、v6プラスのデメリットです。

 

デメリットA:光回線次第ではポテンシャルを発揮できない

v6プラスは、IPv4接続には大きな利点がある一方でIPv6接続ではデメリットにもなり得ます。

 

IPv4なら最大200Mbpsから通信速度が向上するのですが、v6プラスの場合は100Gbpsまで対応するのに契約する光回線やプラン次第では本来の能力を引き出せないのです。

 

※上記の通信速度は理論値ベース

 

たとえば、フレッツ光の1Gbpsを契約しているなら、いくらv6プラスの最大速度が速くても1Gbpsまでしか出せません。

 

仮に10Gbpsのプランを契約しても、最大100Gbpsに対して10Gbpsまでしか出せないのです。

 

※この場合、能力の10分の1しか発揮できていないことになる

 

この点は、IPv6 IPoE方式でも共通しています。光回線のプラン次第では本来の能力を発揮できないことも、v6プラスのデメリットです。

 

注意点@:対応していないプロバイダがある

v6プラスは、普及して間もない技術だからです。

 

IPoE方式にしか対応していないプロバイダだけでなく、PPPoE方式にしか対応していないプロバイダもあります。

 

実際に、ドコモ光25社のプロバイダを例にv6プラスの普及状況を確認しました。

 

※2020年5月現在

 

「楽天ブロードバンド」など4社がIPoE方式にしか対応しておらず、「エディオンネット」など5社がPPPoE方式にしか対応していません。

 

楽天ブロードバンド

引用:NTTドコモ公式サイト

 

※ただし、PPPoE方式のプロバイダはIPv6トンネルアダプタでIPv6に対応

 

プロバイダがセットになっている場合や、自分でプロバイダを選ぶ場合もv6プラスに対応しているか確認しておくことが大切です。

 

注意点A:一部で利用できないサービスがある

v6プラスで利用できないサービスの一例です。

  • IP電話(050)サービス
  • 固定IPサービス
  • 一部の通信型ゲーム
  • 特定のプロトコル(PPTP、SCTP)を利用するサービス

IP電話サービスは、050電話サービス上でPPPoE方式が用いられることや、ネットワーク管理面でアドレス空間や事業者をまたがないように制限をかけているため利用できません。

 

多くのプロバイダでは動的IPが使われているため、一部の固定IPサービスは利用できないのです。

 

※動的IP:接続するたびに異なる識別番号が割り当てられる

 

ゲームについては、v6プラス接続が複数のv6プラス契約者で同じグローバルIPアドレスを共有していることから、アプリケーション側がアドレス共有に対応しないと利用できません。

 

PPTPを利用する主なサービスにはVPNがありますが、v6プラスの仕様上の制限で使えないのです。

 

v6プラスは、上記が使えない点を知っておきましょう。※厳密には対処する方法も存在するが、手間がかかってしまう

 

注意点B:v6プラス対応の機器は有料であることが多い

オプション扱いのv6プラス対応の機器は、別途レンタル料金が必要であることがほとんどです。

 

v6プラス対応の機器がないと、v6プラスは利用できません。

 

中には、12ヶ月間はレンタル料が無料で13ヶ月目からは料金が発生するプロバイダもあります。

 

珍しいのは、So-net光プラスのように同時申し込みで「利用料を永年無料」とする事業者です。

 

通常は月額400円が相場なので、レンタル料無料で年間9,600円も節約できます。

 

一方のIPv4なら、対応機器を無料でレンタルできるプロバイダがほとんどです。

 

v6プラス対応のレンタル機器にお金をかけたくない場合は、自分で購入するかお得にレンタルできるプロバイダを探すしかありません。

 

v6プラス対応をレンタルする際は、有料・無料のどちらかを調べておきましょう。

 

6. v6プラスの評判

v6プラスの評判で最も多かったのは、「通信速度が速くなった」という意見です。

 

 

 

実際に計測した数値も投稿されていますが、通信速度だけでなく応答速度の評価であるPing値まで向上していることがわかります。

 

新型コロナウイルスの影響で利用が多くなった昼間から夜間にかけては混雑するので、網終端装置を迂回できるv6プラスなら混雑時間帯でも快適に接続できます。

 

 

通信速度では有線接続を大きく下回る無線接続であっても、「v6プラスへ変更するだけで実用的な速度が常時発揮されるような状態になった」という意見もありました。

 

 

ただし、デメリットでご紹介したように一部のゲームでは何かしらのエラーや不具合が起きてしまうことがあります。

 

 

 

7. v6プラスに対応している主な光回線

v6プラスに対応している主な光回線は、以下のとおりです。

  • フレッツ光
  • ドコモ光
  • So-net光プラス
  • BIGLOBE光
  • ic-net光
  • @Nifty光
  • DTI光
  • enひかり

プロバイダによってはv6プラスに対応していないこともあるので、選ぶときは注意が必要です。

 

8. v6プラスで接続しているか確認する方法

v6プラスで接続しているか確認する手順は、以下のとおりです。

 

判定したい環境から、測定サイトに接続する
ページを開くと自動的に測定されるので少し待つ
判定結果を確認する
v6プラスで接続しているか確認するには「こちら」をクリック

 

v6プラス 接続

引用:http://v6v4.net/

 

判定結果は以下の3つですが、v6プラスの結果は「こちら」でなければわかりません。

  • IPv4で通信しています
  • IPv4 IPv6 両方で通信しています
  • IPv6で通信しています

「こちら」から得られる判定は2つです。

  • v6プラスつかっています
  • v6プラスではありません

 

GMO v6プラス

引用:GMOとくとくBB公式サイト

 

自分の環境がv6プラスなのか把握するためには、上記の方法を試してみてください。

 

9. v6プラスに対応しているルーター

v6プラスに対応しているルーターの一例を、主要メーカー別にまとめました。

 

メーカー名 機種名
NECプラットフォームズ Aterm WG2600HS
Aterm WG2600HP3
Aterm WG1900HP2
Aterm WG1800HP4
Aterm WG1200HP3
Aterm WG1200HS3
BUFFALO WRM-D2133HP
WTR-M2133HP
WXR-2533DHP2
WXR-1900DHP3(Ver.2.55以降)
WXR-1901DHP3(Ver.2.55以降)
WXR-1900DHP2(Ver.2.53以降)
WXR-1900DHP(Ver.2.43以降)
WXR-1750DHP(Ver.2.52以降)
WXR-1750DHP2(Ver.2.52以降)
WXR-1751DHP2(Ver.2.52以降)
WSR-2533DHP2シリーズ(Ver.1.1以降)
WSR-1166DHP4シリーズ
WSR-1166DHPLシリーズ
IO DATA WN-AX1167GR(Ver.3.20以降)
WN-AX1167GR/V6(Ver.3.20以降)
WN-AX1167GR2
WN-AX2033GR
WN-AX2033GR2
WN-SX300FR
WN-SX300GR
エレコム WRC-1750GSV
WRC-1167GST2
WRC-1750GST2
WRC-1900GST2
WRC-2533GST2
WRC-2533GS2-B
WRC-2533GS2-W
WRC-1167GS2-B
WRC-X3000GS
WMC-M1267GST2-W
WMC-DLGST2-W


ルーター購入の際に、参考として活用していただければ幸いです。

 

10. まとめ【v6プラスに向いている人】

今回は、v6プラスのメリットやデメリットとIPv6との違いを解説しました。

 

v6プラスに向いている人は、以下のような人です。

  • IPv4とIPv6のどちらのサイトも閲覧したい
  • IPv4の通信速度も上げたい
  • マンションや団地など、混雑しやすい環境に住んでいる
  • 月額300円前後のレンタル料の支払いは問題ない
  • プロバイダを調べることが苦にならない

v6プラスはIPoEが普及するまでの「ハイブリッド方式」なので、IPv4やIPv6が混在する現在にはぴったりの技術です。

 

上記に該当する人は、ぜひ検討してみてください。

IPv6とIpv4の違いを解説

NURO光は、現在普及しているIPv4の次世代規格であるIPv6に対応しており、高速での通信が可能となっています。私も基本的にはIPv6で接続するようにしています。

 

とは言っても、そもそもIPv6やIPv4についてよく知らない人も多いでしょう。この記事では、IPv6やIPv4の基本的な意味やその違い、そしてIPv6に対応するメリットデメリットについてまとめました。

 

IPv6とは?

IPv6とIPv4のイメージ

IPv6のイメージ

 

IPv6(Internet Protocol version 6)とは、IPアドレスの規格の1つで、現在主に使用されているIPv4の後継規格です。IPアドレスというのはインターネットに接続している機器に割り当てられるインターネット上の住所のようなものだと考えてください。

 

インターネットに接続する機器にIPアドレスが割り当てられているおかげで、私たちは相手を間違えることなくネットワーク上で情報をやり取りすることができます。住宅やオフィスに住所が振り分けられているからこそ郵便物がしっかり届くのと同じ原理です。

 

IPv6とIPv4の3つの違い

◇IPv6は新しいプロトコル

私たちがインターネットを利用するためにはIPアドレスと呼ばれる住所のような番号が必要です。

 

2019年現在、最も普及しているプロトコルはIPv4と呼ばれるもので、IPv4が利用できるIPアドレスは間もなく枯渇するといわれています。IoTが発達する今、さまざまな家電製品等がインターネットに接続できるようになったため、さらに多くのIPアドレスを用意するために開発されたのがIPv6と呼ばれる新しい規格なのです。※プロトコル=ルール

 

◇違い1:利用できるIPアドレスが無限大

IPv4で利用できるIPアドレスは約42億9497万個といわれていますが、実際に使えるIPアドレスはもう少し少ないようです。世界の人口は約61億人なので1人1つのIPアドレスを割り当てられたとしても足りていませんよね。さらにIoTが発達すれば1人で複数のIPアドレスが必要になるため、現行のIPv4では問題だといわれています。

 

対してIPv6で利用できるIPアドレスは“実質無制限”です。IPアドレスの表記を32ビットから128ビットに変えたため、世界の人口をはるかに上回るIPアドレスの数を用意することができました。結果、無限にIPアドレスが存在することになったのです。

 

◇違い2:通信内容が暗号化される

IPv6ではIPsec(トランスポートモード)と呼ばれる暗号化技術が標準搭載されています。IPsecがあることで、IPパケット(ルールに従って使われているデータ)が暗号化され保護されます。この機能によりIPパケットを途中で改ざんされたり、成りすまされたりすることが防げます。しかし、必ずしも防げるというわけではありません。

 

実はIPv4ではIPsecが使えないというわけではないようです。オプション機能として備わっているため、自分で操作をしてIPsecを有効にしなければいけません。

 

◇違い3:接続方法にも違いがある

IPv4とIPv6には対応している接続方法にも違いがあります。IPv4はPPPoEという接続方式に対応しているのに対し、IPv6はPPPoEとIPoEに対応しています。紐解いて見ていきましょう。

 

PPPoEとは、ダイアルアップ接続向けに作られたルールををイーサネットへ応用した接続方式です。正式には「Point-to-Point Protocol over Ethernet」といい、頭文字をとってPPPoEと呼ばれています。ADSLなど高速インターネットが誕生したことをきっかけに、イーサネット上にてポイントとポイントを繋げなくてはならなくなり、PPPoEが開発されました。

 

IPoEは、前提条件を「イーサネットを使うこと」に置いています。イーサネットは企業内LANと同じ通信規格で直接インターネットへ接続ができます。正式には「Internet Protocol over Ethernet」といい、ネイティブ方式とも呼ばれます。

 

少々難しい話をしてしまいましたが、IPv4とIPv6は接続方法が異なるということだけ覚えていただければ結構です。

 

IPv6誕生の背景はIPアドレス不足

IPv4が割り当てられるIPアドレスは約43億個なのですが、この数では急激なインターネットの普及に対応できなくなり、やがては不足してしまうと考えられています。

 

将来的にインターネットを利用する人は世界中でどんどん増え、またエアコンや冷蔵庫などの家電製品もインターネットに接続する時代が来ると考えられています。そのような状況では、43億個のIPアドレスでは足りなくなるのです。

 

この問題を解決するべく開発されたのがIPv6です。IPv6が割り当てられるIPアドレスの数は約340澗(かん)とされています。1澗が1兆×1兆×1兆ですので、360澗という数字はほぼ無限に等しい数だと考えて良いでしょう。現状、IPv6の日本での普及率は高くはありませんが、一般化されればIPアドレスの不足問題は半永久的に解消すると見られています。

 

IPv6のメリット

IPv6のメリット

 

セキュリティ認証が楽

IPv6で使えるIPoEはセキュリティ認証が楽というメリットがあります。従来のPPPoE方式ではインターネットに接続する際に、プロパイダーから指定されたIDとパスワードを入力しなければアクセスできませんでした。

 

しかしIPoE方式であればIDやパスワードを入力する必要は一切ありません。インターネットにアクセスした際に回線側よりルーターへ認証情報が流れます。問題なく認証できればアクセスできるため、IDとパスワードが不要なのです。

 

通信速度が速い

IPv6のイメージ

 

IPv6はIPv4に比べて通信速度が速いといわれています。なぜなら帯域の幅に差があるからです。IPoE方式(IPv6)はPPPoEと比較し、異なる帯域幅の広い通信網などを経由してインターネットに接続します。

 

分かりやすく言えば高速道路の料金所です。料金所が2つしかなければ、交通量が多い場合、通過するのに時間がかかってしまいます。しかし料金所が4つあれば効率は2倍上がるため、スムーズに通過できますよね。

 

このようにIPv6でのみ利用できるIPoE方式はPPPoEと比較して通信速度が速いといわれているのです。ただし、間違われやすいのはIPv6なら何でも早いわけではないという点です。通信速度が速いのはIPv6-IPoEだけであり、IPv6-PPPoEはIPv4と変わらない通信速度なので注意しましょう。

 

IPv6のデメリット

IPv6のデメリットは、IPv6に未対応のWEBサイトやアプリでは利用できないという点です。Google、YouTube、Facebook、Wikipediaといった大規模なWEBサイトや官公庁のHPなどはIPv6に対応していますが、現状では未対応のサイトも未だ数多く存在しています。したがって、IPv6のみでは満足にインターネットを利用することができないのです。

 

◇IPv4との互換性がない

新時代を担っていくであろうIPv6ですが、実は標準プロトコルであるIPv4との互換性がありません。そのため、IPv4をベースとするホストとの通信を直接行うことができない問題があります。

 

そんなIPv6のデメリットをカバーするのが変換装置です。IPv4にしか対応していないサイトへアクセスする際に、IPv6の通信網を利用しサイト直前でIPv4に変換することで、スムーズなアクセスを実現できます。

 

データは「IPv6にみせかけたIPv4」として変換装置を通るため、IPoE方式でもアクセスできる仕組みです。

 

◇IPv6-PPPoE方式は選ばない方が良い

PPPoE方式は最大通信速度が200Mbpsに制限されています。仮にNURO光のようなIPv6に対応している高速インターネットを使っていたとしてもIPoEではなくPPPoEで繋いでいたら200Mbpsしか出ません。せっかくの1Gbpsが意味ないことになってしまいます。

 

また、PPPoE方式は必ずネットワーク終端装置を通り抜けなければいけず、収容できるネットワーク数に限りがあります。例えば1つのネットワーク終端装置に100人のユーザー収容できる場合、101人目以降は空きが出るまで待たなくてはなりません。

 

結果、通信速度がさらに低下してしまい、「PPPoE=遅い」という式が成り立ってしまうのです。もし可能なのであれば、IPv6を使っている方ならIPoE方式でインターネットに接続することをオススメします。

 

NURO光はIPv6対応で高速通信が可能

NURO光はIPv6に対応しており、これによって通信速度の向上が期待できます。なぜなら、IPv6では混雑の影響を受けないスムーズな情報通信ができるからです。先ほど説明したとおり、IPv4はたくさんの機器が接続されているため常に混雑状態にあります。

 

たとえるならお盆やゴールデンウィークの高速道路のようなものです。混雑した道路では車が本来のスピードを出せないように、ネット上の混雑に巻き込まれてしまうと通信スピードが低下してしまいます。一方、IPv6は混雑のない新設の高速道路です。光回線の本来のスピードでやり取りができるため、結果、通信速度の向上につながるのです。

 

NURO光はIPv6とIPv4のハイブリッド接続

NURO光では、IPv6のIPv4の2つをハイブリッドで利用する「デュアルスタック」を採用しています。したがって、IPv6対応しているWEBサイトでは高速インターネットを利用でき、また未対応のサイトやアプリには従来のIPv4で接続するという状況に合わせた使い分けが可能です。

 

NURO光は高速認証を採用

NURO光の通信速度が優れているもう1つの理由は、インターネット接続時の認証方式にIPoE認証を採用していることです。NURO光以外にもIPv6を採用している光回線業者は割と存在するのですが、それほど速さを実感できないケースがあります。

 

その原因の1つとして考えられるのが、インターネットに接続する際の認証方式です。ここでいう認証とは、インターネットに接続する機器の出所を確認することで安全性を確保するシステムのことです。認証方式にはPPPoE認証とIPoE認証の2つがあります。

 

IPoE認証によってタイムロスのない通信が可能

PPPoE認証は、インターネットに接続する際にユーザー認証としてIDとパスワードを確認する方式で、確認に要する手間によって通信速度が遅くなります。

 

一方、NURO光が採用しているIPoE認証は、回線で認証するためIDとパスワードを確認する必要がありません。つまり、確認する時間分のタイムロスがなくなるため、快適な通信速度でインターネットを楽しめるのです。

 

IPv6とIPoEを併用したNURO光の環境は、たとえるならフルスロットルで走行できる料金所のない高速道路のようなものと言えるでしょう。

 

NURO光でIPv6を利用するには?

NURO光でIPv6を利用する際に、特別な申し込み手続きは必要ありません。NURO光を利用しているだけで自動的にIPv6を利用できる環境になります。現在、自身がIPv6・IPv4のどちらを利用しているのか調べたい場合には、以下のSo-netページのいずれかにアクセスすることですぐに確認することができます。

 

1.https://www.so-net.ne.jp/common/IPv6/:ページの文頭に表示されます。
2.https://www.so-net.ne.jp/:ページの右上に表示されています。

 

前述したように、NURO光を利用していれば自動的にIPv6で接続されるはずです。ただし、ルーターがIPv6に対応していない、あるいはIPv6で接続しないようにネットワーク設定がされているなどの理由によってIPv4で接続される場合があります。

 

もし、IPv6ではなくIPv4が表示された場合には、通信機器やネットワーク設定の確認をしてみると良いでしょう。

 

NURO光はIPv6プラスには非対応

IPv6プラスとは、NTT東西の次世代ネットワークを利用して事業を行うプロバイダが、新たな設備を用意することなくIPv6のIPv4のハイブリッド接続をユーザーに提供できるサービスです。

 

こちらもNURO光と同じくIPoE認証によるスムーズな通信を実現しています。このサービスが関係するのは、NTTの運営するフレッツ光や、ソフトバンク光やauひかりなど、フレッツ光の光回線を利用している、いわゆる「光コラボ」と呼ばれるインターネットサービスです。

 

IPv6プラス非対応はデメリットにはならない

NURO光は光コラボではないため、IPv6プラスには対応していません。しかし、ご説明したようにNURO光もIPv6対応でIPoE認証を採用しています。

 

さらに、フレッツ光の通信速度が最大1Gbpsなのに対しNURO光は最大2Gbpsです。これらの点から、NURO光がIPv6プラスに未対応であることがデメリットになることはなく、むしろNURO光の方が通信速度で勝る可能性さえあります。

 

名称に「プラス」と付いてはいますが、対応している方が優れているというわけではないのです。

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