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Wi-Fi6(IEEE802.11ax)の特徴と5Gとの関係性

 

無線LAN(Wi-Fi)の最新規格であるWi-Fi6をご存じでしょうか。従来の方式と比べて飛躍的に性能が向上したWi-Fi6は、5G時代の到来やIoTを活用するうえで非常に重要なものとなるでしょう。

 

この記事では、Wi-Fi6の基本的な特徴やメリット・デメリットについてご説明します。

 

 

Wi-Fi6(IEEE802.11ax)とは?

 

Wi-Fi6について簡単に説明すると、ケーブルに接続せずにインターネットが利用できる無線LAN(Wi-Fi)の最新規格のことです。正式名称は「IEEE802.11ax」。

 

しかし、非常に覚えづらいため、一般への認知普及を図り「Wi-Fi6」とわかりやすい通称が使われています。

 

Wi-Fi6のメリット

 

現在、一般的に使われている無線LANの規格にはWi-Fi4(IEEE802.11n)とWi-Fi5 (IEEE802.11ac)があります。この2つの規格とWi-Fi6を比較した表がこちらです。

 

  Wi-Fi4 Wi-Fi5 Wi-Fi6
開始時期 2009年 2014年 2019〜2020年
正式名称 IEEE802.11n IEEE802.11ac IEEE802.11ax
使用周波数帯 2.4G帯/5GHz帯 5GHz帯 2.4G帯/5GHz帯
最大通信速度(理論値) 300Mbps 6.9Gbps 9.6Gbps
実効スループット(好条件での実測通信速度) 150Mbps 800Mbps 1Gbps〜
最大同時接続数 1(SU-MIMO) 4(MU-MIMO) 8(MU-MIMO)

 

数値をパッと見ただけでもWi-Fi6が優れていることがわかるかと思います。具体的には、どのような点が異なるのかご説明します。

  • 通信速度の向上
  • 回線の安定性の向上
  • 省エネ・省電力

といった点がメリットとして注目されています。

 

通信速度がアップする

 

メジャーな光回線の多くは、最大通信速度が1Gbps〜2Gbpsとなっています。しかし、Wi-Fi5でも800Mbps、Wi-Fi4に至っては150Mbpsまでしか出すことができません。

 

一方、Wi-Fi6の場合は実測値で1Gbps以上、想定ではWi-Fi5の4倍程度の速度が期待できるとされています。

 

つまり、無線LANでも光回線本来の速度でインターネットを使用できるようになるのです。技術的には、4Kよりもさらに高画質な8K動画のストリーミング再生も可能だと言われています。

 

回線が安定している

 

Wi-Fi6では2.4GHzと5GHzという2つの周波数帯を使うことができます。2つの周波数帯には以下のような特徴があり、どちらかしか使えないと通信が不安定になる可能性が高くなります。2.4Ghzと5Ghz帯のどちらを使うべきか?

 

2,4Ghz帯と5Ghz帯の違い

 

  • 2.4G帯:障害物に強いが他の機器と電波干渉しやすい
  • 5GHz帯:障害物に弱いが電波干渉が少ない

 

Wi-Fi4では、両方の周波数帯が利用できますが通信速度がネックです。また、Wi-Fi5では一定の速度が期待できますが5GHzの周波数帯しか使用できないというデメリットがありました。

 

Wi-Fi6は、2.4GHzと5GHz両方の周波数帯を組み合わせて使用できるのに加え、Wi-Fi5以上の通信速度が期待できます。これにより、従来の規格よりも安定した速度を保つことができるのです。

 

たくさんのデバイスを接続しても速度が落ちない

 

Wi-Fiルーターは、規格によって一度に情報を送信できる数が決まっています。

 

たとえば、Wi-Fi4はSU-MIMOとよばれる技術を使っており、これは一度に1つの端末とでしか情報交換ができません。AとBという2つのスマホを接続した場合、Wi-FiがAに情報を送っている間、Bには待ち時間が発生してしまうため、通信が不安定になるのです。

 

接続する端末が多いほど待ち時間も延びるため、速度はさらに低下します。

 

Wi-Fi5では、MU-MIMOという新たな技術が採用され、4台まで同時に情報を送受信できるようになりました。

 

そしてWi-Fi6では、さらに倍の8台まで同時に情報をやり取りすることができます。スマホやパソコン、電子機器などが同時に8台ルーターと接続していても速度が落ちることはないのです。通信速度は、最大値よりも混雑状況の方が実用性に大きく影響します。

 

Wi-Fi6では数多くのデバイスを接続しても通信が不安定になりにくくなったことで、従来よりもはるかに快適なインターネット環境が実現すると考えられています。

 

省エネ・省電力になる

 

Wi-Fi6では、ターゲットウェイクタイム(TWT)という技術を採用することで高効率なエネルギー消費が可能となっています。

 

これにより、Wi-Fi端末のバッテリー寿命を従来よりも大幅に向上できることが見込まれています。Wi-Fi6の普及により、安定した高速通信が可能となるのに加えてスマホやパソコンなどのバッテリーも長持ちするというわけです。

 

Wi-Fi6のデメリットは?

 

現時点では、Wi-Fi6に対応しているスマホやパソコンの端末はまだ多くありません。

 

したがって、対応している端末を入手しようとすると選択肢が限定されることになります。また、まだ値段も高額なのが難点です。

 

費用対効果を考えるとあまり良い選択肢とは言えないかもしれません。ただ、Wi-Fi6が普及すれば対応端末が増え、価格も下がってくると思われます。価格が高い、選択肢が少ないというデメリットは時間とともに消えていくのではないでしょうか。

 

Wi-Fi6の5Gの関連性は?

 

5G(5th Generation)は、1Gから現在主流となっている4Gまでの流れを汲む次世代の無線通信システムや、そのシステムに対応した通信機器のことです。

 

5Gでは、「高速・大容量通信」「多数端末の同時接続通信」が可能となり、8K動画のダウンロードが短時間で完了し、また、多くの人が同時接続しても混雑による速度低下が起きることがありません。5Gとは?3分でわかる4GやWi-Fiとの違い

 

5G環境ではWi-Fi6が欠かせないものに

 

5Gが普及すると、さまざまなサービスが5Gでの通信を前提とした大容量コンテンツの配信をするようになると思われます。

 

そのような時代では、従来のWi-Fi規格では通信速度が追いつかず、満足にインターネットを楽しむことは難しくなるでしょう。「5G通信の端末では問題なく利用できるけれど、Wi-Fi環境に切り替えると時間がかかって話にならない」という事態になりかねないのです。

 

5Gとともに新規格のWi-Fi6が普及すれば、このようなギャップを解消できると考えられています。複数の端末を接続しても安定した高速通信が可能なWi-Fi6は、来る5G時代を見据えたうえでも重要な規格だと言えるでしょう。

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